2006.03.04 Saturday
山崎豊子「白い巨塔(五)」読み終わりました
読み終わってしまいました
たいへん読みごたえのある物語でした
財前五郎は苦労して学術会議会員の選挙に当選し、新しい名誉を手に入れます
しかし、裁判には負けます
敗訴と一緒に財前を襲ったのは末期の胃癌でした
癌を専門とする外科医でありながら癌の宣告を受けることなく死んでいきます
40年前はまだ癌の告知に対して非常な抵抗のある時代でした
あとがきを読んで知ったのですが、「白い巨塔」は本編と続編の二つからなります
本編は最初の裁判に財前が勝つところで終わりです
週刊誌に連載していたときにたいへん評判が良いのと同時に物議を醸したので1年半ののちに続編を書いたそうです
続編では裁判に負け、自身も死んでしまいます
ドラマはすべてを通して作られているのでそういうもんだと思って見ていましたが、あとから続きを作ったことを知ると余計によくできているように思います
社会的ハッピーエンドだったわけですが、それだけでは終わらない重さがありますし、平成の世でも通用する普遍のテーマであるからだと思います
読み終わってしまうのが惜しいような物語でした
次は久しぶりに時代物、池波正太郎を読もうと思います